山形県・新庄市に2年住んでいました。その頃、長男がお腹に入ってて(出産も里帰りせずにそこで生んだのですが)、仕事もせずに大きなお腹をかかえて、街をぶらぶら散歩するのが日課の毎日でした。街といっても駅前から商店街が一本あるだけの小さな街でしたので、その通りをうろうろするか、車でヨーカドーに買い物に行くかのどっちかで用事がすんでしまう。夏は酷暑で冬は豪雪。そんな所に「貘書房」があるのはまさに奇跡のようなものでした。
商店街の1角、書店のショーウインドウのはずなのに、カヌーが飾ってありました。彫刻やオブジェもありました。ドアの前には空のフィルムケースが籠に入れてあって、「タバコの吸い殻入れ。ご自由にお持ち下さい」とあります。中にはいると、こぢんまりとした店内のあちこちに手書きの漫画がはってあります。主に店のオヤジを主人公にしたと思われる内容です。けっこう上手いです、常連の子が描いたのでしょうか。棚を見ると、漫画がなかなか充実してて、青林堂や白夜書房のもおいてあります。「立ち読みOK。でも買ってくれるとうれしい」との張り紙もあったような。芸術関係も充実してます。写真集の積み方や関連書の並びにもこだわりがあって、ついつい買いたくなってしまうのでした。 大抵、レジにはお姉さんがいて、オヤジは配達に出ています。オヤジはヒゲがチャームポイントのまるっこい(失礼)感じ。ずっと話した事はなかったのですが、新庄をもうすぐ離れる、という頃に仲良くなり、写真の名刺をいただきました。山形のアーティスト・冬澤さんの作品で、ガリ版印刷のものです。エロな眼の貘は、オヤジがモデルなんだそうです。 お腹にいた子が3才になった夏、再び訪れたのですが、覚えていてくださいました。「おもちゃなんて、こんなので十分だよ〜」と言ってその場で作ってくれたものは、息子を描いたスポンジをフイルムケースに入れた「びっくり箱」。その時に撮った写真もわざわざ郵送してくださいました。 まだあるのかな。あってほしいな、貘書房。(余談ですが、いつだったか、そんな小さな本屋が「暮らしの手帖」に取り上げられた時がありました。いい本だなあ〜、さすが!と思ったものです)今年の夏、また顔を見に行きたいと思ってます。
by kids_blog
| 2005-01-13 15:05
| モノより思い出
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